1996年12月上旬前後の気温の特徴について

牛山素行(科学技術振興事業団研究員)

1.利用資料
AMeDAS白馬観測所(小谷村至近の4要素観測所)の日平均、最高、最低気温。AMeDASの場合は観測期間が短いため平年値が算出できないため、ここでは平年値に準ずるものとして、1986年〜1995年の10年間の平均を算出した。以下では、この値を仮に「準平年値」と呼ぶ。

2.見られる特徴
96年11月中旬から下旬にかけては、平均、最高、最低気温ともに準平年値に近い変化を示しており、特に寒冷、温暖な傾向はなかったものと思われる。しかし、12月上旬になってかなり寒い日が数日続いたが、災害発生の前日5日はやや暖かい日になっている。しかし、5日も準平年値と比べると、この時期としては特別に暖かい日であったということはない。5日の気温について特徴的なのは、最低気温が前日に比べてかなり高くなっている一方で、最高気温はそれほどあがっておらず、5日は気温変化が少ない一日であったことが示唆される。また、最低気温が約1週間ぶりに0℃以上となっていたことも注目される。今後、他の地点のデータや、時間後のデータを用いた検討が必要である。