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平成16年7月福井豪雨災害 研究関係情報

東北大学災害制御研究センター  講師 牛山 素行

2004/7/18作成開始,7/19,8/17,21加筆

本ページは,本災害に関する研究調査を行われる方の参考になる情報集積を行うことを目的としております.本ページの記述はすべて速報的なものであり,完全なものではありません.不適切な表現に気がつかれた場合は,こちらまでお知らせいただければ幸いです.まとまった情報更新を行った際にはメ-ルマガジンでお知らせいたします


刊行物

災害概要

 2004年7月18日から,梅雨前線の活動により福井県北部(嶺北地方)を中心とした豪雨が発生した.7月19日20:00現在,全国の被害は総務省消防庁によると死者・行方不明者5名,住家の全壊39棟,半壊99棟,一部損壊棟,床上浸水3237棟,床下浸水7634棟となっている.1971年以降の福井県の豪雨災害としては,人的被害,浸水家屋数とも,従来の記録を大きく超過して最大規模となっている.全国の被害記録と比較しても,1県の被害としては,今回の床上浸水は,大きな記録50事例に入る規模のものと言える.
 国土交通省7月18日20時の資料によれば,福井市の足羽川左岸で破堤1箇所,美山町の足羽川左岸・右岸で破堤5箇所,落橋7箇所などが発生し,相当程度の浸水被害が生じているようである.

現地調査資料

降水状況

本災害の特徴・特記事項

牛山が関心を持った事項のメモです.
福井県北部は豪雨空白域
筆者はかつて,各観測所における暖候期降水量の平年値と,1時間降水量,日降水量の最大値の間に相関があることから,暖候期降水量から予測された日降水量の最大値より,観測されている日降水量の最大値の方が小さい観測所を,「統計期間中(用いたデータでは最近20年間)に顕著な豪雨が発生していない観測所」とし,このような観測所が見られる地域を「豪雨空白域」と考えることができる可能性を示唆し(牛山・寶,2003),このような地域では豪雨災害に対する認識が落ちている可能性を懸念した.今回豪雨の発生した,福井県北部は,この「豪雨空白域」と見なせる地域であり,近年豪雨が発生していなかったことが,防災意識に何か関係していたか,関心が持たれる.この地域で豪雨が発生しないわけではなく,福井では1979年以降最大24時間降水量は151mmだったが,1933/7/26に201.4mmの日降水量記録があり,今回の記録を上回っている.勝山,大野など,今回の豪雨域のやや東側の山間部では日降水量200mm以上の記録は少なくないが,1979年以降の24時間降水量最大値は200mm以下であった.また,現在の福井市東部のJR越前東郷駅付近の地域では,1921年9月に日降水量400mmと言う記録もある.

関連リンク

※本災害に関しての完全なリンクを作成することを目指しているものではなく,筆者の必要に応じて作成しているものです.

静岡大学防災総合センター 教授  牛山 素行
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